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      スタイルのあるクリエイティブ・クラスの日常から、いまという時代にふさわしいファッションライフを考える連載企画、「ニュー デイリー ライフ」。第5回にご登場いただくのは、世界的に評価される映画監督であり、自身の作品を脚本から自ら執筆する一方で、フォトグラファーとしても数々の広告、映画スチールを手掛ける多才な映像作家、長谷井宏紀さんです。

      「外出もままならないコロナ禍のなか、家に籠もって原稿の執筆に集中していたこともあって、かなり太っちゃったんですよね。その前はダイエットにハマっていたから相当痩せていたはずなのに(笑)」

      モデルか俳優か、というワイルドな風貌を裏切る屈託のない笑顔で、そんなエピソードを教えてくれた長谷井宏紀さん。しかし最近は自宅での執筆を控え、積極的に外出するようにしているという。

      「いま進めている作品は、移民の暮らしや人生がテーマ。だから家に籠もっていても移民の“リアル”は感じられないし、彼らの実際の顔や洋服、持ち物などを眺めながら、彼らの歩くリズムや息遣いを感じながら執筆したいと考えるようになりました」

      そんな長谷井さんがいま、注目しているのがリトルコリアとして有名な新大久保なのだとか。

      「上野や新大久保など、いろんなところに出掛けていって、町中のベンチなどに座って人々を眺めながら書いているんです。新大久保はコリアンタウンだと思われてるけど、駅の北側にディープなネパールタウンもあったりして面白いんです」

      この日、長谷井さんが着ていたコートは、2色の異なる色味とテクニックで奥行きのある素材感や陰影が表現されたチェスターフィールド。フロントはボタンの見えない比翼仕立てになっており、大人っぽいミニマルなデザインに仕上がっています。毛足が長く、ふっくらとした肌触りも特徴的。

      インナーのモックネックシャツは、ややオフセットしたジップの入ったデザイン性の高い逸品。ラグジュアリーな光沢を放つ、細番手の素材もポイントです。それとは対照的なカントリーテイストのトラウザーズは、イタリアの高級服地メーカーであるルイジ・リッチェリ社による、オックスフォード地のウールナイロン素材を採用。印象的なバギーシルエットに、ゴム仕様のウエストというリラックス感が魅力です。

      「ポール・スミスの服は、上京したばかりのころに渋谷の明治通りで購入して以来、上品さのある独特な華やかさが気に入っています。着ていてラクな服が一番ですけど、スーツなどのテーラードも、気分が上がるので好きなんですよ」

      コート¥132,000、シャツ¥30,800、トラウザーズ¥49,500、ブーツ¥49,500(すべて税込)

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      仕事柄、ロケ撮影やフィールドワークも多いという長谷井さん。この日は冬場のロケにピッタリな、ダウンジャケットに色鮮やかなケーブル編みセーターというコントラストの効いた着こなしだ。

      「洋服や小物は旅先で手に入れたり、いただいたものが多いですね。一度気に入るとそればっかり、という性分なので、若いときに靴はブーツ1足しか持っていなかったという時期もありました(笑)。そのブーツも破れては直し、ソールも貼り直すというのを繰り返して、10年以上愛用したと思います」

      ベーシックなデザインと高い機能性を両立するダウンブルゾンは、トレンドやスタイルに左右されないタイムレスな傑作。編み柄が印象的なセーター、ジーンズなどとともに、末永く着回せる愛用品となること間違いなしです。

      英国の老舗メーカー、マラリウス社製の撥水加工ウール生地を使用したダウンブルゾンは、デザイン性、防寒性、耐候性など、あらゆる面で高いレベルに仕上がっているニュースタンダード候補。中綿には上質なハンガリー産のホワイトグースダウンを採用しており、軽量性にも優れています。

      クラシカルなケーブル編みをモダンにアレンジしたセーターは、その鮮やかな発色も見逃せません。さりげないビッグシルエットはファッション性が高く、モードにもトラッドにも合わせられる汎用性の高さにも注目です。

      シンプルなジーンズは股上が深めになっており、オーセンティックで骨太な印象を醸し出すストレートシルエット。セルビッジにはジャカード織りの「RED EAR」という文字があしらわれているという、遊び心たっぷりな小技の効いたアイテムです。

      「意外と赤とか紫とか、派手な色が好きでよく着ています。テーラーをしている弟がヴェネチア映画祭のときに仕立ててくれたスーツも、毛足の長い紫の生地でした。顔が派手なので、バランスが取れるのかもと言っていただけることが多いですね(笑)」

      ブルゾン¥132,000、セーター¥49,500、ジーンズ¥37,400、ブーツ¥49,500(すべて税込)

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      長谷井宏紀(はせい・こうき)

      1975年、岡山県生まれ。2007年にセルゲイ・ボドロフ監督の『モンゴル』でスチールフォトグラファーを務め、俳優としても出演を果たす。2015年、ヴェネツィア国際映画祭で自ら監督・脚本を務めた『ブランカとギター弾き』が、ソッリーゾ・ディベルソ賞とマジックランタン賞をダブル受賞。現在は映画監督、CM監督、脚本家、写真家、アーティストとしてマルチに活躍中。近作にアイドルMVとしては異例の全編ウラジオストクロケを敢行したNGT48『世界の人へ』MVがある。 

      Photography by Yuko Yasukawa
      Styling by Nobuyuki Ida
      Hair & Make-up by Kazuya Matsumoto @ W
      Editorial Direction & Text by Junya Hasegawa @ america