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      スタイルのあるクリエイティブ・クラスの日常から、いまという時代にふさわしいファッションライフを考える連載企画、「ニュー デイリー ライフ」。第2回にご登場いただくのは、東京・目黒から世界を見据え、“飲”と“食”の新時代を切り拓く話題のレストラン「Kabi」。その若きオーナーシェフとオーナーソムリエ、安田翔平さんと江本賢太郎さんです。

      いま最も注目を集めるレストランのひとつといっても過言ではない「Kabi」は、旧くは家具屋街として知られた東京・目黒の目黒通り沿いにあります。この“最寄り駅”が存在しない辺ぴなエリアのレストランに昼夜を問わず人々が集まるのは、ひとえにシェフの安田翔平さん、ソムリエの江本賢太郎さんという、それぞれが、そして両者の共鳴が創り出す味と香り、居心地のよさといったものが、これまでなかったものだからでしょう。

      そして驚くなかれ、おふたりはいまだ29歳、30歳という若さ。まさに新進気鋭の、並外れた才能をもった“ミレニアルズ”たちなのです。

      そんなふたりだからこそ、日々の装いも気になるところ。ソムリエの江本さん(写真上)は、「もともとは、ふたりとも古着が好き。そんな服好きが高じて、最近はお店の2階で不定期に、ヨーロッパ古着のポップアップショップを開催したりもしています」と語ります。

      江本さんも安田さんも、自宅とレストラン間の移動は自転車なのだとか。だから普段着はスポーティーで動きやすく、そしてリラックスしたシルエットのものが多いのだそう。

      「店の仕込みはそのまま私服でやっているので、ダークな色目が多いんです。ビーツの汁が飛んだりしますからね」

      そんな江本さんのコミュータースタイルには、フロントジップのウールポリエステル製スイングトップがよく似合う。

      身頃上下の大胆な切り替え、ジップ部分にあしらわれたアーティストストライプがデザインコンシャスで、スポーティーなアイテムに大人のクラス感が漂います。経糸に細く上質なSuper100’sウール、緯糸にポリエステル混の糸を使用することで、独特のハリと滑らかさを併せ持った質感も特徴です。

      インナーには、ネック部分のさりげないライン使いが上品なハイネックセーターを。リラックスフィットと深めにとったタックが際立つウールトラウザーズは、ゆとりのある腰回りから、ギュッときつめにテーパードさせた美しいシルエットが魅力です。

      ブルゾン ¥71,500、 ニット ¥28,600、 トラウザーズ ¥19,800、 シューズ ¥60,500(すべて税込)

      SHOP BLOUSON

      「仕事柄、最近は着るシーンが少なくなってしまいましたけど、改めて羽織ってみると新鮮でいいですね。ヴィンテージ感があるから普段着ている洋服と合わせても違和感がないし、着心地もいいです」というテーラードジャケットは、ストレッチを効かせたウール素材。ソフトな仕立てと本格的な本切羽仕様のカフスもポイントです。

      ラペルはダブルのフラワーホールを備え、職人的手仕事を感じさせるAMFステッチがアクセントとなっています。中に合わせたバンドカラーシャツには、ニュアンスたっぷりな極上のイタリア製ウールを使用。身頃と袖のパターンが異なる凝ったデザインがポール・スミスらしく、絶妙なオーバーサイズ感にモダンさが漂います。

      ジャケット ¥71,500、 トラウザーズ ¥39,600、 シャツ ¥28,600(すべて税込)

      SHOP JACKETS

      「実はこの撮影で、僕も賢太郎も高校時代に使っていた財布がポール・スミスのものだったとわかったんですよ。しかも内側がストライプでローバー・MINIがデザインされているというところまで、まったく同じ(笑)。これには本当に驚きましたね」

      そんな極上のハーモニーを奏でるふたりの感性の共通点、その根源を示すようなエピソードを明かしてくれた安田さん(写真上)。「普段はヨーロッパの古着、特にドイツ・ベルリンを感じられるようなものばかり着てますね。テクノが大好きだから」というだけあって、ヴィンテージなテイストを醸し出すジャケットスタイルの着こなしはお手のものです。

      クラシカルなマイクロチェック柄のジャケットは、ややゆとりのあるシルエットとパッチポケットのおかげで、ほどよくカジュアルな印象。ヘンリーネックとVネックをレイヤードしたかのようなデザインのカットソーも、ヴィンテージっぽいのにしっかりとモダンに仕上がっています。

      ジャケット ¥49,500、 カットソー ¥35,200、 トラウザーズ ¥30,800(すべて税込)

      SHOP JACKETS

      深まる、朝の目黒通りは心地いい。“パパチャリ”移動している安田さんにとっても、自宅からレストラン前に向かって緩やかに下る坂はお気に入りの通勤路です。

      「クルマも自転車も、スピードが出やすいから危ないんですけどね」

      SHOP BLOUSON

      軽快なシャツのようなルックスながら、中綿入りのキルティング仕様で防寒性も十二分の1枚は、インナーとしてもアウターとしても大活躍間違いなし。スリムなシルエットに仕上げているので野暮ったくならず、シャープに見えます。シンプルなデザインのため、合わせるスタイルを選ばないのも高ポイント。

      ボリューム感のあるウールナイロン製ノータックトラウザーズにレザースニーカーを合わせ、全身をブラックで統一しています。トップスはコンパクト、ボトムスはワイドにというコントラストの効いたボリュームバランスが、モノトーンによってさらに引き立っているようです。

      「いつも黒い服が多いので、シャツもパンツもしっくりきます。シルエットも好みなので、そのままワードローブに取り入れたいですね(笑)」

      シャツブルゾン ¥35,200(10月下旬展開)、 中に着たカットソー ¥11,000、 トラウザーズ ¥49,500、 シューズ ¥33,000(すべて税込)

      SHOP MEN'S

      Kabi(カビ)

      2017年11月にオープン。日本、フランス、デンマークなど多様な文化によって創発(そうはつ)された東京・目黒のレストラン。国内外の一流店で経験を積んだ20代のシェフ安田翔平さんとソムリエ江本賢太郎さんがタッグを組んで立ち上げた店として話題を呼び、食通や世界の料理人から注目を集めている。

      Photography by Yuko Yasukawa
      Styling by Nobuyuki Ida
      Hair & Make-up by Eriko Yamaguchi
      Editorial Direction & Text by Junya Hasegawa @ america