デュラックの作品を眺めていたポールには1960年代から70年代、ポーリーンとともにニューヨークのフィルモア・イーストやサンフランシスコのフィルモア・ウエストなどの有名なライブハウスを訪れていた頃の記憶がよみがえりました。ロックミュージックの歴史上非常にアイコニックなこれらの場所には、ポールが常に心を奪われていたサイケデリックなポスターやアートワークが建物の中にも外にも縦横無尽に貼られていました(今日いくつかのポール・スミスショップでは、ヴィンテージのミュージックポスターも販売しています)。
また、1967年にリリースされたCreamの『Disraeli Gears』(邦題:カラフル・クリーム)は、オーストラリア出身のポップアーティスト マーティン・シャープがアルバムジャケットを手がけており、エリック・クラプトン、ジャック・ブルース、ジンジャー・ベイカーによりイギリスで結成されたこのロックバンドのアルバムのデザインはサイケデリックアート全盛期を象徴しているとともに、ポールがDreamerプリントをデザインするにあたりヒントを得ていたものです。
ポールがDreamerプリントに吹き込みたいと考えていたもの、それは ‘楽観主義的’ な感覚にほかなりません。「多くの問題を抱えたこの世界において、別世界に誘ってくれる夢のあるプリントがあるということはなんて素敵なことでしょう」
秋冬シーズンのプリントながら豊かなディープカラーが色鮮やかなオレンジ、レッド、ブルーと組み合わさったDreamerプリントには、サイケデリックカラーで描写されたカエル、カブトムシ、レオパードなどの遊び心ある生き物たちが散りばめられています。