Paris
4部構成の動画シリーズ「Postcards from」― 2作目となる今回、ポールはクラフト、クオリティ、日常に存在するアートへの親しみに溢れる都市、パリを訪れます
Paris
4部構成の動画シリーズ「Postcards from」― 2作目となる今回、ポールはクラフト、クオリティ、日常に存在するアートへの親しみに溢れる都市、パリを訪れます
パリは、歩くスピードで最もその素晴らしさが味わえる街です。
ポールが初めてこの街を訪れた70年代、歩いて市内を移動することは安くて効率の良い手段でした。ポールと彼のパートナーであり、後に妻となったポーリーンはその当時、パリを歩きまわりながらクチュールショーを訪れたり左岸のギャラリーやカフェを探索したりしました。 現在でもポールは、自分の足を使ってパリをまわることを好みます。 「ゆっくりしたペースで街を移動すると、たくさんのものを目にすることができます」
しかし、ポールにとってパリはまた、ファッションショーを行うたびに向き合わなくてはならない膨大な仕事量やすさまじいペースを思い起こさせる場所でもあります。 ポール・スミスの初めてのメンズショーは1976年のパリファッションウィークで行われ、以来パリは、年に2回新しいコレクションを発表するために欠かさず訪れる街です。
忙しい滞在スケジュールの中でも、稀に数時間の空き時間を見つけることができたら、ポールは今でも昔のように徒歩や自転車で狭い通りを訪れ、小さなショップやカフェ、ギャラリーに立ち寄ってみたりと、パリジャンたちがそうするようにパリの街を散策します。
La Palette
43 Rue de Seine, 75006 Paris
ラ パレットはおそらく典型的なパリのカフェです。サイズは小さくとも特徴的で、心地良いけれど、どこまでもパリ然とした姿勢を貫いたカフェです。そこに座っていると、たとえそれがカプチーノを飲む程度の短い時間であったとしても、地元の人間になったように感じます。
パリに通いだした頃、ポールの一日はだいたい、ラ パレットでクロワッサンをひとつ(時にはふたつ)齧ることから始まりました。 そしてボザール通りのホテル"ロテル"からカフェまでの短い道すがら、興味深いもの、創造性を刺激するものに溢れた、無数の小さなギャラリーやショップを目にします。 このエリアは今でも以前と変わらない芸術的なエネルギーに満ちていて、多くの物事に対して職人的なアプローチを見せるパリらしさを体現しています。
École des Beaux-Arts
14 Rue Bonaparte, 75006 Paris
エコール・デ・ボザール・パリ(パリ国立高等美術学校)は、ラ パレットから徒歩5分以内のところに位置する、パリ市内でもトップクラスのアートスクールのひとつです。
最近では2017年秋冬コレクションを含め、ポールはこれまで何度かここでファッションショーを行ってきました。ロンドンのロイヤル・アカデミー・オブ・アーツと同様、大御所のアーティストと新しい才能とが交わる場所であるということが、ポールをワクワクさせます。子どものように探究心のある学生ならではの気質は、常にポールにインスピレーションを与えてきました。
このアートスクールは年間を通じて多くのエキシビションを開催しており、卒業生たちの作品を有名なアーティストの作品とともに展示しています。 広大な複合施設をゆっくりと時間をかけて探索したい場合は、建物のガイド付きツアーも利用できます。
Galerie Maeght
42 Rue du Bac, 75007 Paris
パリ滞在中ならではの体験に、日常的にアートに触れるということがあります。
「パリで最初に感銘を受けたことのひとつは、ほとんどすべてのカフェの窓には、アートポスターが貼られているということでした。それも決して大きな美術館のものではなく、ローカルギャラリーのものです。」さらに興味深いのは、ポスターがどこで作られたものなのか調べると、大概それらはマーグ画廊に行き着くということです。
1946年にバック通りにオープンしたマーグ画廊は、パリ市の主要なエキシビションのポスターを手がける印刷業者としてその存在を確立しました。 また彼らは、当時活躍していた最高のアーティストたちを惹きつけるとともに、素晴らしいプリントのアーカイブを構築しました。現在マーグ画廊は、オリジナルのリトグラフや本に加え、バックカタログから複製した高品質のポスターを取り揃えており、それらを通してその歴史や遺産に触れることができます。ポールもここに立ち寄ると、よくシャガール、カルダー、マティスやミロの作品などのポスターを購入しています。
Poilâne
8 Rue du Cherche-Midi, 75006 Paris
ポワラーヌ家にとって、パンを作ることは家業です。過去3代にわたり、彼らはパン作りをひとつの芸術の形にまで高めました。
創業者のピエールは、1932年にパリのシェルシェ・ミディ通りに最初のベーカリーを設立しました。その息子ライオネルは革新者であり非常にエキセントリックな人物で、彼がスペイン出身のシュルレアリスムを代表する画家サルバドール・ダリと友人になった際には、パンでシャンデリアを作ったという逸話もあります。そして今日、ライオネルの跡を継いだ娘のアポロニアは、ロンドンにも支店をオープンし、ポワラーヌの伝統を引き継いでいます。
「彼らは本物の職人です。パンを作っていますが、それは本当に美しいパンです。」今回の訪問で、ポールは幸運にも焼釜のある地下に案内され、サワードウブレッドをカスタマイズする機会に恵まれ、この家族経営のベーカリーの素晴らしい歴史の1ページに、わずかな足跡を残しました。
「Postcards from」次回ポールが訪れる都市は東京です。「東京編」は12月22日(日)公開となります。どうぞお楽しみに。
Special thanks to all the locations and people featured in this film.
Directed by Jim Pilling
Produced by Vidsett