ここ最近、スーツはある種の存亡の危機を迎えていると言ってもよいでしょう。在宅勤務が一般化する前から、ドレスダウンがすっかり定着したように見えるこの世界において、スーツの地位は不安定なものでした。しかしパンデミック以降、その役割はより明確になりました。スーツを着て一種の役を演じる喜びもありますよね。職場でシャツとチノパンのコーディネートではなくスーツを選ぶことは、今どき当たり前ではないからこそ、重みがあるのです。クリエイターたちの交流を目的とするプライベートクラブ、Soho Houseの新エディトリアルディレクターで、私たちが知る限り最もスタイリッシュな男性のひとりであるスタイルジャーナリストのテオ・ヴァン・デン・ブロークは、「スーツを着ると、自分がまとまっているように感じられます。美しく仕立てられたスーツほど、肩幅をしっかり見せ、ウエストのくびれや、ボディをエレガントに包み込んでくれるものはありません。まるで錬金術のような力がスーツには宿っているのです」と語ります。
「GQで働いていた頃は、テーラリングを日常的に着ていました。主に媒体を代表してイベントなどに出席することが多かったからです。Soho Houseでの新しい仕事ではオフィスにいることが多いので、テーラードアイテムにスニーカーやスウェットなど、よりカジュアルなアイテムをミックスしています。着心地のよさをより重視する傾向があり、私もその着こなしを気に入っています」
それがどのような着こなしなのかを教えてもらうため、テオの協力のもと、2022年秋冬シーズンの「Modern Working Wardrobe(モダン ワーキング ワードローブ)」のスタイリングを彼自身に披露してもらいました。どんな仕事の1日であったとしても、テーラリングを多彩に着こなす5つの例をご紹介します。
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