最も身近で頻繁に着るアイテムこそ、実はあまり意識せず着ているのではないでしょうか。今回はとても便利なスーツについてご紹介しましょう

悲しいことに、エレガントさと長距離の移動が両立することはほとんどありません。旅行中の快適さを重視するのであれば、それはなおのこと。昔は旅に出るとき、人々は必ずおしゃれをしていました。それゆえ、飛行機や列車、自動車で移動する乗客たちの写真を見ると、誰もがスタイリッシュであったことに驚きを覚えるかもしれません。しかし、それは快適な旅だったのでしょうか。重厚な仕立てのテーラリング、フェルトの帽子、ウールのドレス、硬い革靴、ギャバジンのレインコートなどを見ると、とてもそうは思えません。

現代において、社会はかつてと真逆の方向に振れていると言っても過言ではないでしょう。旅の着こなしにおいて、快適さが重視されるようになったことには驚きません。長距離フライトの時代、心地良くない服装は避けたいと誰もが思っているはずです。どちらの方が良いのか、ここで断言するつもりはありませんが、エレガントさも快適さも兼ね備えたアイテムがあることをお伝えします。

ポール・スミスのトラベルスーツ「A Suit To Travel In」をご存じでしょうか。デザイナーのポール自身が大のスーツ好きでありながら頻繁に旅に出るため、過酷な道のりに耐えながらもシャープに見えるスーツを作らないわけにはいきませんでした。「A Suit To Travel In」にはいくつかの種類がありますが、今回焦点を当てるのはその中でも典型的なスタイルでポール・スミスのクラシックなスーツフィットであるSOHO（ソーホー）です。着丈が短めで現代的なフィット、細いラペルが特徴のSOHO（ソーホー）は、特別な生地で仕立てられ、シワになりにくく撥水性に優れており、パリッとした状態を保持します。つまり、長旅を経てもスーツは家を出たときと同じ状態のままなのです。

「A Suit To Travel In」はポール自身の旅のユニフォームとなり、世界中の男性のワードローブに欠かせないアイテムとなっています。どこにも行かなくたって着ても良いのです。ポールはこのスーツの魅力を「とても人気があるのは着ている人を素敵に見せてくれるから」と端的に表現します。