イタリアへ続く道

イタリアへ続く道 ポール・スミスとイタリアには長く、深いつながりがあります。フィレンツェで開催されるピッティ・ウオモでの2025年春夏コレクション発表を間近に控え、熟練した技術を持つことで有名なイタリアの生地メーカーや工場とともに歩んできたブランドの歴史について、デザイナー、ポール・スミス本人に話を聞きました
英国の真髄を体現しながらも多彩な個性を持つポール・スミス。これはポールが異国の文化に魅了され続けてきた所以と言えるでしょう。日本の生活に深い親近感を感じ、アメリカのアートや音楽を愛し、若い頃にドイツのバウハウスに影響を受けたポール・スミスには、どこまでも国際的な雰囲気が漂います。

しかし、ポール・スミスという人物、そしてブランドに、他のどの国よりも大きな影響を与えた国はイタリアにほかなりません。ブランドの歴史のごく初期から、ポールはイタリアの工場やメーカーを訪れ、最も上質な生地を調達し、自身が持つメンズテーラリングの独創的なビジョンを実現するために、才能あふれる職人たちの力を借りてきました。「創業当初、私の服は全て英国製でした。生産数量がとても少なかったのですが、あれを20着、これを30着作ってくれる小さな工場を見つけることができたからです。当時、特にテーラードウェアの生地はかなり重く、英国の工場はツイードや、それ以上に重い生地の扱いに長けていました。しかし、トレンドがより軽量の生地に向かうにつれて、極細の針を使い、より慎重で、より注意深い方法で縫うことには慣れていないことが分かりました。そこで、イタリアの工場と手を組むことを検討し始めたのですが、恵まれたことに、駆け出しのデザイナーでありながら少量の注文にも対応してくれる工場を見つけることができました」とポールは語ります。
ポール・スミスはまもなく全てのスーツにイタリアの、とりわけ北西部製の生地を使うようになり、たちまちニット、シャツ、シューズやレザーアイテムなどもイタリアで製造するようになりました。その初期の転機から今日に至るまで、イタリアの生地メーカーはブランドの形成に極めて重要な役割を果たしてきました。そして今、ポール・スミスの歴史におけるエキサイティングな新局面に向けて、特にイタリアへの思い入れを強く感じています。2024年6月11日、ポール・スミスは、年に2回フィレンツェで開催される世界的に有名なファッション見本市、ピッティ・ウオモに参加するため、イタリアに戻ります。毎シーズンのパリでのファッションショーとは趣向を変え、よりパーソナルな雰囲気の演出となる予定です。

「今年は、ショーの代わりにプレゼンテーションを行いたいと考えました。世の中では企業の影響が強くなり、豪華絢爛なショーが行われ、個性がだいぶ失われてきているように感じます。長年、年に2回パリでファッションショーを開催してきたので、それをやめて、フィレンツェでプレゼンテーションをするというのは、本当に大きな転換です。ヴィラ・ファヴァールというとても美しいヴィラでコレクションを披露し、コレクションについてお話しするプレゼンテーションを行います。ファッションショーといえば、9分、10分で終わってしまう。最近はほとんどの人がカメラでビデオ撮影しています。だから、実際にコレクションを説明したり、コレクションについて直接会話をしたりするのは、とてもユニークなことだと思います」
2025年春夏コレクションのプレゼンテーションの公開をどうぞお楽しみに。



