New Daily Life Vol.11 by Yasuhiro Sasaki
Paul Smith New Daily Life Vol.11 by Yasuhiro Sasaki ビジネスデザイナーの佐々木康裕が 表現するオルタナティブなスタイル。 Paul Smith New Daily Life Vol.11 by Yasuhiro Sasaki ビジネスデザイナーの佐々木康裕が表現するオルタナティブなスタイル。
Paul Smith
いまの時代を過ごすのに相応しいファッションとは、どんなものなのか? スタイルのあるクリエイターの日常からそのヒントを探し出す連載「New Daily Life」。今回登場するのは、ビジネスデザイナーとして活躍する佐々木康裕さん。デザイン・イノベーション・ファーム「Takram(タクラム)」に所属し、さまざまな企業と関わりながら、新しいプロジェクトのコンセプトを考えたり、これまでになかったサービスを立案するなど、人とは異なる視点で世の中の時流を読み解き、その時代に合った価値を創造しています。
「形ある “モノ” を手でつくるというよりも、人がどうしたら気持ちいい体験できるかとか、そうした “コト” を頭で考えるのが僕の仕事です。今はいろんな企業が変化の渦にさらされる中で、なにをしたらいいのか? ということをよく考えています」
この1年と僅かの間に自分たちの世界が一変してしまい、それに合わせた生き方を求められるようになった今、佐々木さんの生活にも変化があったそう。それは自身のファッションにも影響を与えたようです。
「家にいることが多くなって、行動範囲が狭くなりました。でも、それは自分のファッションに対していい影響をもたらしたように思います。本当に必要な服しか着なくなったんですよ。自分が着ていて気持ちのいいもの、特に素材やシルエットを気にかけるようになりました。とはいえそれはリラックスしたものという意味ではなく、あくまで自分の気持ちを上げるものとして選んでいます。オンラインでのミーティングや、僕は大学院の講師もしていてオンライン授業もありますし、仕事中は家の中でも気を引き締めるような服を着るように心がけています。徒歩で移動することが増えたので、足元にもこだわって、スニーカーもだらしなくならないようなきれい目なものを選んでいますね」
いまの時代を過ごすのに相応しいファッションとは、どんなものなのか? スタイルのあるクリエイターの日常からそのヒントを探し出す連載「New Daily Life」。今回登場するのは、ビジネスデザイナーとして活躍する佐々木康裕さん。デザイン・イノベーション・ファーム「Takram(タクラム)」に所属し、さまざまな企業と関わりながら、新しいプロジェクトのコンセプトを考えたり、これまでになかったサービスを立案するなど、人とは異なる視点で世の中の時流を読み解き、その時代に合った価値を創造しています。
「形ある “モノ” を手でつくるというよりも、人がどうしたら気持ちいい体験できるかとか、そうした “コト” を頭で考えるのが僕の仕事です。今はいろんな企業が変化の渦にさらされる中で、なにをしたらいいのか? ということをよく考えています」
この1年と僅かの間に自分たちの世界が一変してしまい、それに合わせた生き方を求められるようになった今、佐々木さんの生活にも変化があったそう。それは自身のファッションにも影響を与えたようです。
「家にいることが多くなって、行動範囲が狭くなりました。でも、それは自分のファッションに対していい影響をもたらしたように思います。本当に必要な服しか着なくなったんですよ。自分が着ていて気持ちのいいもの、特に素材やシルエットを気にかけるようになりました。とはいえそれはリラックスしたものという意味ではなく、あくまで自分の気持ちを上げるものとして選んでいます。オンラインでのミーティングや、僕は大学院の講師もしていてオンライン授業もありますし、仕事中は家の中でも気を引き締めるような服を着るように心がけています。徒歩で移動することが増えたので、足元にもこだわって、スニーカーもだらしなくならないようなきれい目なものを選んでいますね」

佐々木さんの好きな服、それはシンプルなものが多いそう。しかしそこにはきちんとした理由がありました。
「仕事柄、消費文化について考えることがあります。やっぱり大量生産・大量消費には違和感を覚えるんです。だからシンプルで長く着られるものがいい。それに昨今は『サステナブル』というキーワードが各業界で取り沙汰されていますが、僕自身も服を買うときは産地を気にしたり、どれくらい二酸化炭素を排出して作られているのかを調べたりします。ファッション業界に限らず、今はそうした情報を開示している企業も少なくないんです」
佐々木さんの好きな服、それはシンプルなものが多いそう。しかしそこにはきちんとした理由がありました。
「仕事柄、消費文化について考えることがあります。やっぱり大量生産・大量消費には違和感を覚えるんです。だからシンプルで長く着られるものがいい。それに昨今は『サステナブル』というキーワードが各業界で取り沙汰されていますが、僕自身も服を買うときは産地を気にしたり、どれくらい二酸化炭素を排出して作られているのかを調べたりします。ファッション業界に限らず、今はそうした情報を開示している企業も少なくないんです」


ブルゾン¥49,500、カットソー¥17,600、トラウザーズ¥22,000、バッグ¥29,700、腕時計¥42,900、ソックス¥2,200、スニーカー¥49,500(すべて税込)
ポール・スミスもそんなサステナブルな取り組みを始めています。佐々木さんが身にまとうセットアップは、オーガニックコットンを使用したもの。ブルゾンの左裾にはサステナブルなアイテムであることを表す太陽のマークが刺繍されています。バッグにもリサイクルナイロンが使われています。
「ブルゾンもパンツもハリのある生地を使っていて、リラックスしたシルエットなんだけど、そうなりすぎないところがいいなと思いました。春はこうした服が着たくなりますよね。世代を問わず、若い人たちや僕と同年代の人たちも着やすい服だと思います。ポール・スミスがこうしたサステナブルな取り組みをしているのって、とても魅力的ですね。すごく健全なことだと思うし、今後は服そのものだけではなくて、その服が作られていく過程もクールである必要が出てくると思います」
ブルゾン¥49,500、カットソー¥17,600、トラウザーズ¥22,000、バッグ¥29,700、腕時計¥42,900、ソックス¥2,200、スニーカー¥49,500(すべて税込)
ポール・スミスもそんなサステナブルな取り組みを始めています。佐々木さんが身にまとうセットアップは、オーガニックコットンを使用したもの。ブルゾンの左裾にはサステナブルなアイテムであることを表す太陽のマークが刺繍されています。バッグにもリサイクルナイロンが使われています。
「ブルゾンもパンツもハリのある生地を使っていて、リラックスしたシルエットなんだけど、そうなりすぎないところがいいなと思いました。春はこうした服が着たくなりますよね。世代を問わず、若い人たちや僕と同年代の人たちも着やすい服だと思います。ポール・スミスがこうしたサステナブルな取り組みをしているのって、とても魅力的ですね。すごく健全なことだと思うし、今後は服そのものだけではなくて、その服が作られていく過程もクールである必要が出てくると思います」

佐々木さん曰く「ポール・スミスはユニークなポジションのブランドだと思う」とのこと。その真意はどんなところにあるのでしょうか?
「イギリスの伝統に敬意を払いながらも、どこかポップな印象もありますよね。色使いが印象的だし、最近はストリートっぽい要素も感じたりして、ポール・スミスさん自身のお茶目な性格を感じるんです。そうした遊びゴコロが僕は好きですね」
佐々木さん曰く「ポール・スミスはユニークなポジションのブランドだと思う」とのこと。その真意はどんなところにあるのでしょうか?
「イギリスの伝統に敬意を払いながらも、どこかポップな印象もありますよね。色使いが印象的だし、最近はストリートっぽい要素も感じたりして、ポール・スミスさん自身のお茶目な性格を感じるんです。そうした遊びゴコロが僕は好きですね」

ジャケット¥99,000、シャツ¥27,500、デニム¥33,000、タイ¥15,400、シューズ¥90,200(すべて税込)
カジュアルなアイテムだけでなくスーツなどのテーラードアイテムにも、佐々木さんが話すポール・スミスらしさは宿っています。佐々木さんが所属する「Takram」のオフィスでのスタイル。ジャケットはイタリアのファブリックメーカー「コロンボ社」が作る超軽量のウール&シルクの素材を使用。一見すると正統派な2つボタンのジャケットですが、ラペルのゴージ部分は貫通仕様。腰のポケットもフラップのように縫い付けてあり、ポケットは上から手を入れる仕様になっていたりと、ひと工夫されています。
「イギリス人の作るスーツって、個人的にすごく信頼しているんです。イギリスはスーツの発祥の地ですし、シルエットもきれいで、着る人がカッコよく魅力的に見えるようにきちんと考えられている。このジャケットも、そうした意匠を強く感じます。遊びゴコロを感じさせるディテールがありながらもさり気ないし、ベーシックでありながら着る人を喜ばせるデザインになっていると思うんです」
ジャケット¥99,000、シャツ¥27,500、デニム¥33,000、タイ¥15,400、シューズ¥90,200(すべて税込)
カジュアルなアイテムだけでなくスーツなどのテーラードアイテムにも、佐々木さんが話すポール・スミスらしさは宿っています。佐々木さんが所属する「Takram」のオフィスでのスタイル。ジャケットはイタリアのファブリックメーカー「コロンボ社」が作る超軽量のウール&シルクの素材を使用。一見すると正統派な2つボタンのジャケットですが、ラペルのゴージ部分は貫通仕様。腰のポケットもフラップのように縫い付けてあり、ポケットは上から手を入れる仕様になっていたりと、ひと工夫されています。
「イギリス人の作るスーツって、個人的にすごく信頼しているんです。イギリスはスーツの発祥の地ですし、シルエットもきれいで、着る人がカッコよく魅力的に見えるようにきちんと考えられている。このジャケットも、そうした意匠を強く感じます。遊びゴコロを感じさせるディテールがありながらもさり気ないし、ベーシックでありながら着る人を喜ばせるデザインになっていると思うんです」

自分の見た目を気にするのはもちろん、「TPOに合わせて着る服を選ぶことも大事にしている」と佐々木さん。その他に仕事をする上で大事にしていることを尋ねると、こんな答えが返ってきました。
「僕は考えることが好きで、考え抜くようにしていますね。アイデアの中に新しい価値を見出して、現代の文脈とフィットする部分を探る。例えば、最近はオンラインのバーチャル世界で履けるシューズを販売しているファッション企業も出てきていますが、こうした動きはデジタルとサステナビリティ両方の文脈を兼ね添えています。フィジカルではないけれど、今は実世界とは別にバーチャルにも自身の世界を築く人もいる。そういうことを考えるのがぼくは好きですね」
人とは違う発想で物事を考える。それが佐々木さん流の思考方法で、その原点は大学生の頃にあるようです。
「写真部だったんですけど、撮った作品を披露したときに『誰々っぽい』って言われるのが悔しかったんです。それで人とは違う表現をするようになりました。上手な写真は技術を磨けば撮れるようになるかもしれませんが、面白い写真を撮るには技術だけでは足りません。だから情報を得るときも、なるべく人とは違うソースから得るようにしています。面白いけど他の人は気づいていないような情報を探すようにしているんです」
自分の見た目を気にするのはもちろん、「TPOに合わせて着る服を選ぶことも大事にしている」と佐々木さん。その他に仕事をする上で大事にしていることを尋ねると、こんな答えが返ってきました。
「僕は考えることが好きで、考え抜くようにしていますね。アイデアの中に新しい価値を見出して、現代の文脈とフィットする部分を探る。例えば、最近はオンラインのバーチャル世界で履けるシューズを販売しているファッション企業も出てきていますが、こうした動きはデジタルとサステナビリティ両方の文脈を兼ね添えています。フィジカルではないけれど、今は実世界とは別にバーチャルにも自身の世界を築く人もいる。そういうことを考えるのがぼくは好きですね」
人とは違う発想で物事を考える。それが佐々木さん流の思考方法で、その原点は大学生の頃にあるようです。
「写真部だったんですけど、撮った作品を披露したときに『誰々っぽい』って言われるのが悔しかったんです。それで人とは違う表現をするようになりました。上手な写真は技術を磨けば撮れるようになるかもしれませんが、面白い写真を撮るには技術だけでは足りません。だから情報を得るときも、なるべく人とは違うソースから得るようにしています。面白いけど他の人は気づいていないような情報を探すようにしているんです」
そうして得た情報が活きるのは、仕事だけではありません。佐々木さんは『Lobsterr』という自身のスローメディアを仲間と運営していて、そこでユニークな情報を発信しています。しかも、あえてニュースレターという形式をとってメールで配信することで、他のメディアと差別化を図っています。そこにも「人と違うことをしたい」という佐々木さんのこだわりを感じます。
「カルチャーとビジネスが交差するものを『Lobsterr』では取り上げています。読んだ人がふと立ち止まって考えるような、そういう絶妙なポイントをついたトピックを毎週月曜にメールで配信しているんです。情報があふれる時代の中で、単に面白いで消費されて終わるようなものは届けたくない。読者の記憶に留まって、『そういえばあのときあんな記事を読んだけど、ふと思えばこういうことなのかもしれない。将来を生きる上で、こういう考えが必要かもな』と思考を巡らせるようなものを届けたいんです」
佐々木さんは自身の存在について「常にオルタナティブでありたい」と考えています。そうした思考は、均一化が進む社会を生きる上でこれからより大事になっていくかもしれません。
「世の中は常に変化し続けています。そうした中で、なるべくメインストリームにはいないようにしていきたいです。だけど、将来メインストリームになりうる物事の種を探し続けることが、自分らしい生き方だとも思っていて。『憧れのあの人のようになりたい』というようなロールモデルは存在せず、とにかく人と違うことをこれからもやり続けていたいですね」
そうして得た情報が活きるのは、仕事だけではありません。佐々木さんは『Lobsterr』という自身のスローメディアを仲間と運営していて、そこでユニークな情報を発信しています。しかも、あえてニュースレターという形式をとってメールで配信することで、他のメディアと差別化を図っています。そこにも「人と違うことをしたい」という佐々木さんのこだわりを感じます。
「カルチャーとビジネスが交差するものを『Lobsterr』では取り上げています。読んだ人がふと立ち止まって考えるような、そういう絶妙なポイントをついたトピックを毎週月曜にメールで配信しているんです。情報があふれる時代の中で、単に面白いで消費されて終わるようなものは届けたくない。読者の記憶に留まって、『そういえばあのときあんな記事を読んだけど、ふと思えばこういうことなのかもしれない。将来を生きる上で、こういう考えが必要かもな』と思考を巡らせるようなものを届けたいんです」
佐々木さんは自身の存在について「常にオルタナティブでありたい」と考えています。そうした思考は、均一化が進む社会を生きる上でこれからより大事になっていくかもしれません。
「世の中は常に変化し続けています。そうした中で、なるべくメインストリームにはいないようにしていきたいです。だけど、将来メインストリームになりうる物事の種を探し続けることが、自分らしい生き方だとも思っていて。『憧れのあの人のようになりたい』というようなロールモデルは存在せず、とにかく人と違うことをこれからもやり続けていたいですね」
佐々木康裕(ささき・やすひろ)
「Takram」ディレクター兼ビジネスデザイナー、『Lobsterr』発起人。埼玉県出身。「早稲田大学政治経済学部」卒業。「イリノイ工科大学Institute of Design修士課程(Master of Design Method)」修了。2015年7月に「Takram」に入社し、クリエイティブとビジネスを越境するビジネスデザイナーとして活躍する。一方、自身が発起人となり2019年に『Lobsterr』を創設。世界中のメディアから “変化の種” となるようなストーリーをキュレートしている。
佐々木康裕(ささき・やすひろ)
「Takram」ディレクター兼ビジネスデザイナー、『Lobsterr』発起人。埼玉県出身。「早稲田大学政治経済学部」卒業。「イリノイ工科大学Institute of Design修士課程(Master of Design Method)」修了。2015年7月に「Takram」に入社し、クリエイティブとビジネスを越境するビジネスデザイナーとして活躍する。一方、自身が発起人となり2019年に『Lobsterr』を創設。世界中のメディアから “変化の種” となるようなストーリーをキュレートしている。
Produced by Rhino inc.
Produced by Rhino inc.






























